確定申告の数字のトリックに挑む!

(2011年01月31日)

2月になれば、自営業をされている方は
避けて通れない確定申告が待っていますね。

自営業者は、確定申告を行うことで、
1年間の自分の事業経営の収入と費用を明らかにすることができます。
 
しかし、確定申告では、
1年間の『お金の流れ(キャッシュフロー)』がどうだったのか
実は明らかになりません。

なぜでしょうか?
それは、帳簿上のお金と手元に残る実際のお金が
一致しないからです。
 

その理由の1つが
帳簿上だけにあらわれる費用「減価償却費」の存在にあります。 
 
減価償却費は、購入した固定資産をその耐用年数にわたって
毎年費用として計上していくというものです。
 
減価償却費の最大の特徴は、
『実際にお金の支出がない、帳簿上の費用』であるという点です。
 
つまり、実際にお金を支払っているわけではないのですが、
不動産の所得を帳簿上で計算するときにだけ、
あらわれてくる費用なのです。
 
ですから、手元に残ったお金と、
帳簿上のお金の不一致が生まれてきます。
 

手元のお金と帳簿上のお金があわないもう一つの理由。
それが、借入金(借入金)の返済金です。
 
毎月返済する借入金(ローン)の返済金は、
『元本返済』と『金利』の2つが合算された金額です。
 
このうち、確定申告時に費用計上できるのは、
『金利』部分だけです。

 
毎月5万円ずつ、年間60万円を返済しているといっても、
元利金含めた60万円全額は費用計上されず、
あくまでも、そのうちの金利部分だけが
費用として計上されるのです。
 
 
余談ですが、マイホームを購入する際に、金融機関で住宅ローンを借りるとき、
おそらく多くの金融機関は長期のローンを勧めてくるはずです。
 
それもそのはず、仮に2,000万円を銀行から借りるとして、
金利が1%で計算すると
借入期間が30年では支払い金利は約315万円
20年では約200万円、10年では約100万円です。
 
これだけ支払う金利の額が違うのです。
銀行がより多くの儲けを出そうとするのなら、
長期で借りてもらったほうがお得ですよね。
 
金利だけに目をとらわれず、
借り入れの際は、元利金を復縁田総支払い額を
しっかりと確認したほうがいいですね。

 
さて、ご紹介したように
減価償却費と支払い金利によって、
 
帳簿上では赤字で、キャッシュフローは黒字。
また、帳簿上は黒字でも、キャッシュフローは赤字。
こうしたことが起こります。
 
「なるほどそうか。 実際にお金は出て行かないのに、
帳簿上は費用となるものがあるのか。
  だったら、それを最大限活用しよう!」
 
こんな風に考えるのも自然ですよね。
 
減価償却費が大きくなればなるほど、
帳簿上の費用が増え、手元に多くのお金が残ります。
 
では、どうすれば減価償却費を大きく計上できるのか?
 結論からいうと、
減価償却費を意図的に操作することはできません。
 
例えば、マンションには建物部分と土地部分にわかれており、
土地部分は減価償却費の計算対象外です。
 
1,000万円で購入した物件があり、
仮に建物部分が500万円、土地部分が500万円だとすると、
500万円分だけが減価償却費として計上されます。
 
このように建物部分が大きければ大きいほど、
多額の減価償却費を計上できることになりますが、
建物部分と土地部分の按分は、
『固定資産税評価額』や『消費税(土地には消費税はかからない)』を
もとに行われるので、意図的に分けることはできません。
 
 
そもそも減価償却費は固定資産をを購入した年に
一度に多額に費用が計上されるのを避け、その固定資産の
耐用年数期間中に、均等に費用を配分することが目的です。
 

減価償却の制度自体の目的が、正しい会計処理にあり、
自営業を行う人をはじめとした
事業者の利益、節税を目的したものではありません。
 

また、そもそも自営業を行う目的は、
自分のやりたいことを業とすることを通じて、
長期安定収入を得ることで、節税が目的ではないはずです。
 
実際、20年前のバブルの時代、
節税を目的にした不動産投資でたくさんの方が失敗してきました。
私は金融機関に勤めていたときに、それらで失敗してきた人を
いっぱい見てきました。
 

 事業をを行うと、毎年確定申告を行う必要がありますが、
 いくら節税できたとか、いくらの赤字を計上できたかではなく、
 自分自身の事業が1年間でどれだけの収益をあげたのか、
 手元のキャッシュフローとどれだけ差があり、その原因はなんなのか。

 確定申告は、年に一度の事業の
 収益性判断の機会にしたいものです。