会計人からみた生活保障③

(2010年09月07日)

 「会計人から見た生活保障」の3回目です。

 

3階建てとなっている生活保障のうち2階に相当するのが企業福祉です。

企業福祉という言葉は、企業には従業員福祉を行う責任があるという

ニュアンスを感じさせます。一方で企業福祉は、福利厚生とも呼ばれ

従業員に与える恩恵的な報酬というニュアンスとなります。

企業福祉は、給与・賞与、退職給付(退職金・企業年金)と並ぶ報酬として

重要な位置に位置づけられるのです。

会計人としては、従業員の満足度を上げると同時に、生産性を向上させる

手段として福利厚生を充実させていきましょう。

 

 福利厚生の充実に対して必ず出る反対論に、「福利厚生をすべて廃止して

相当額を給与として支給したほうが社員は喜ぶ」という意見があります。

福利厚生現金化論です。「退職金を廃止してその分を給与に上乗せせよ」

との声もよくあります。

 

 こうした意見は企業の発展にとって危険で、例えば福利厚生廃止前から

勤務している社員にとっては、「当社は福利厚生はないが、その分給与が

いいんだ」「退職金はないけど賞与がその分多い」と理解していますが、

その後入社した社員から見れば、単なる福利厚生も退職金もない会社に

過ぎません。中途採用にしろ、新卒にしろ、大きく期待を裏切られ、勤務先への

満足度は低下します。

 

 また会社の利益面で見ても現金化は問題が多く、給与を加算することで

社会保険料の算定対象が膨らみ、会社が負担する社会保険料が増えます。

社会保険料負担の重さは、もちろん社員本人にとっても、所得税・住民税、

社会保険料の本人負担とも増加し、手取りはさほど増えませんが、

社会保険料だけを考えれば、従業員への報酬は、社宅など福利厚生を

極力現物化し、現金部分を抑えるのが得策と言えます。



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 [ 読書欄 ] ━━━━━━━━━━━━━━━━

『進化する福利厚生』西久保浩二著:労務研究所発行(2008)4,620
 著者は気鋭の福利厚生研究者である。福利厚生の役割は多様であるが、

著者は経営を支援するツールとして位置付けて福利厚生を分析・研究してきた。

本書では日本的経営といわれるものがリストラの時期を経て変質した後、

福利厚生自体にも変化が生じていることを検証している。