相続放棄はどうやるの③

(2011年05月03日)

前回といっても3月30日のコラムで相続放棄について話を
しました。今日は、その続きをしたいと思います。
 
過去2回のこらむでは、相続放棄の手続き・3ヶ月間の熟慮
期間があること、その起算点、相続放棄の効力、相続放棄
の無効の主張方法について話をしました。

今日は相続放棄と生命保険、相続放棄と限定承認の差異、
相続放棄・限定承認と債権者について話をします。
 
■相続放棄と生命保険
生命保険金は、原則として相続財産には含まれず、受取人の
固有財産となります。よって受取人が相続放棄をしたとしても
相続財産を受け取ることができます、また、生命保険金を
受け取ったからといって、単純承認の原因となりませんので、
相続放棄を申述することができます。(最高裁判決昭和40年
2月2日判決・民事裁判例集19巻1号1頁)
 
■相続放棄と限定承認の差異
 相続放棄をすると、初めから相続人でなかったことになります。
これに対し、限定承認は、相続した積極財産の範囲でのみ債務
を負担する留保つきで相続することを言います(民法922条)。
相続人は、相続した財産の範囲で債務支払いの責任を負えば
足り、債権者は、その財産の範囲でしか、弁済を受けることが
できません。
 限定承認は、熟慮期間内に相続人全員が共同して申述
しなければなりません。
 
■相続放棄・限定承認と債権者
相続債権者が、相続人に債務の支払いを求めようとしたところ、
相続放棄をしてしまった場合、詐害行為取消権(民法424条)を
行使して放棄の取消が出来るかという問題があります。
裁判例は、放棄が相続人の地位に関する身分上の行為である
こと、財産を増加させないだけで、減少させる行為でないことを
理由として、取消せないとしています。(最高裁判決1974年9月
20日判決・最高裁判所民事判例集28巻6号1202頁) 
 これに対し、相続をした上で取得分なしの遺産分割協議を
した場合は、財産を減少させる行為で取消の対象となりうると
(最高裁判決1999年6月11日判決・最高裁判所民事判例集53巻
5号898頁)。
 限定承認をした相続人が、被相続人との間の死因贈与契約に
より財産を取得した場合、この財産は相続により取得したもので
ないため、本来債務の引当にならない財産ですが、判例は、
限定承認者が死因贈与財産を総取りするのは、債権者との
間で不公平となるなどの理由で、信義則上、死因贈与財産で
あっても債務の引当となる財産と解するのが相当であると
しました。(最高裁判所1998年2月13日判決・最高裁判所
民事判例集63巻1号38頁)