なぜ年金額が下がったのか?

(2011年05月04日)

平成23年度の年金関係の変更点について話をします。

まず、大きな変更点としては、年金額が下がったことです。
4月分の年金から減額改定となります。すなわち、6月15日
支給分から年金額は下がります。 

では、なぜ年金額が下がったのでしょうか。
 平成11年から13年にかけて、物価の下落により1.7%
年金額を下げるところ、特例で年金額が据え置きされたことが
あります。

マイナススライドを特例的に実施しなかった水準の年金額
(物価スライド特例水準の年金額)が、平成16年改正の
年金額を上回る場合は、物価特例水準の年金額を支給する
措置がとられています。
このため、16年の法改正後も、法改正後の年金額ではなく、
物価スライド特例水準の年金額が支給されてきました。 

平成22年平均の全国消費者物価指数の対前年比変動率は
マイナス0.7%となりました。年金額改定の基となる平成17年の
物価水準を100とした場合の指数が99.6となりました。
これに基づいて改定された本来の年金額よりも物価スライド
特例水準の年金額が高額と なります。 

平成23年度も物価スライド特例水準の年金額が支給される
ことになり、23年度の年金額は平成22年度と比べて0.4%
減額改定となりました。なお、マクロ経済スライドも発動されて
いません。 

この結果、老齢基礎年金(満額)は788,900円となりました。
加給年金額は227,000円、配偶者加給年金額は394,500円、
中高齢寡婦加算額 591,700円 、その他、振替加算額、経過的
寡婦加算額など減額改定されました。年金受給者にとって
はきびしい改定です。 

23年度の国民年金保険料は、22年度の保険料より下がり
ました。 国民年金保険料は毎年280円ずつアップし、
平成29年4月には16900円で固定すると法律で定められて
いますが、いずれの価格も平成16年度価格です。

実際の各年度における保険料は、法定された各年度の
保険料額に物価や賃金の変動を反映させた保険料改定率で
計算されます。
23年度の国民年金保険料改定率は0.984となりました。 

法定保険料額15,260円×改定率0.984=15,020円(23年度の
国民年金保険料)保険料改定率と、年金額の改定率とは
異なるものです。また、付加保険料は変動することなく
同一で400円です。 

その他、注意しておきたい改定後の年金額として、障害手当金の
最低保障額があります。これは物価スライド率を除いて改定され
ます。23年度は1,153,800円です。
また、特別障害支給金(任意加入中に初診日があった人で
障害1、2級に該当する人に 支給される)は、物価スライドのみ
での改定です。
1級49,650円、2級39,720円と改定されました。 

在職老齢年金の計算式で使用する支給停止基準額「47万円」は
「46万円」に改定となりました。
この支給停止基準額は、賃金等の変動に応じて自動的に
改定する仕組みとなっています。

在職老齢年金の支給基準がきびしくなり、これまで停止と
なっていなかった人も、停止となることがあります。
この改定は2年続けての改定です。なお、「28万円」については
変更ありません。
 
障害基礎年金・障害厚生年金についても改定があります。
障害基礎年金では、受給権発生時に生計を維持している
子がある場合に、子の加算(1人227,000円、3人目からは
75,600円)が行われることになっています。

これに加えて、受給権発生後に子を持ったときに、生計維持
関係にある子として加算が行われることになりました。
 (注:改正前は、受給権発生時に胎児であった子は、出生と
したときに加算の対象となります。) 

ただし、この改定により複雑になったのは児童扶養手当との
関係です。 児童扶養手当については、児童が父または母に
支給される公的年金の加算対象となっているときは手当を
支給しないこととなっています。

今回の改正で加算が支給されることにより、児童扶養手当が
支給されなくなることから、児童扶養手当の額が遺族基礎
年金の子の加算額を上回る場合には不利益になります。
このように法改定により不利益にならないように、児童扶養
手当の額が遺族基礎年金の子の加算額を上回る場合には
障害基礎年金の加算対象としないことができるように定めら
れました。

障害厚生年金では、受給権発生時に生計を維持する配偶者が
ある場合、配偶者加給年金額が加算されます。その後に
結婚した場合、配偶者加給年金は加算されませんでしたが、
今回の改正では、受給権発生後に結婚した場合であっても、
配偶者加給年金額が加算されるようになりました。 

その他注目すべき点として、日本年金機構によるねんきん
ネットサービスがスタートしています。
ねんきんネットサービスとは、インターネットで、自分の年金
記録が確認できるサービスです。 

平成23年4月以降送付される「ねんきん定期便」に記載されて
いるアクセスキーを入力すると、すぐに利用できます。
アクセスキーがない場合は、ユーザーIDの発行を申し込むと、
1週間程度でユーザーIDが郵送されてきます。

その後は、ねんきんネットサービスへアクセスすると、いつでの
自分の記録が確認できます。
わかりやすく表示されていますので、試してみてください。

また、問題となった「運用3号」は3月8日で廃止されましたが、
今後、不整合3号期間をカラ期間扱いにするなどの案が
検討されていますので、注目しておきたいところです。