経営承継円滑化法の民法特例適用は低水準

(2011年06月15日)

事業承継税制の抜本拡充や、民法上の遺留分制度による
制約への対応を始めとする、事業承継円滑化のための
総合的支援策となる「経営承継円滑化法」が、2008年5月に
成立、同年10月1日から施行(民法の特例に関する規定は
2009年3月1日施行)されましたが、中小企業庁のまとめに
よりますと、2011年2月28日時点での認定実績は、
相続税280件、贈与税88件、金融支援40件、また民法特例の
確認は26件(除外合意のみ)であることが分かりました。

 制度創設以来、2年半を過ぎてこの実績はあまりにも少なく、
制度の煩雑さと「相続=争続」といわれるところに、その原因が
潜んでいると見られています。例えば、民法の特例で、
一定の要件を満たす後継者が、遺留分権利者全員との合意
及び所要の手続き(経済産業相の確認、家庭裁判所の許可)を
経ることを前提に、その特例を受けることができますが、
そのハードルは決して低くありません。

 「除外合意」は、先代経営者の生前に、経産相の確認を受けた
後継者が、遺留分権利者全員との合意内容を家庭裁判所の
許可を受けることで、先代経営者から後継者へ贈与された
自社株式その他一定の財産について、遺留分算定の基
礎財産から除外できます。これにより、事業継続に不可欠な
自社株式等に係る遺留分減殺請求を未然に防止できると
されています。事業後継者単独で家裁に申立てることは
できますが、その前段の合意が難しくなっています。

 「固定合意」は、生前贈与後に株式価値が後継者の貢献で
上昇した場合、遺留分算定に際し相続開始時点の評価で
計算されることを避けるため、経産相の確認を受けた後継者が、
遺留分権利者全員との合意内容を家庭裁判所の許可を
受けることにより、生前贈与株式の価額を合意時の評価額で
予め固定できます。
しかし、景気低迷下で株価が上昇するはずもなく、未だ確認は
「0件」と、事業承継税制の実態と現実の乖離が浮き彫りに
なっています。