社長の家計を見直す

(2011年06月26日)

私が親しくさせていただいている社長が、ふとこのようなこと
をおっしゃられました。
社長いわく
「利益が出なくても役員報酬は取っておいた方が良い」と
アドバイスされたということでした。
それを、何年前にされたかわからない税理士の助言を丁寧に
守っています。

確かに、役員報酬額が高いと、将来的には年金の受給額も
多くなりますし、役員退職金の算定基準額も高くなります。

また、会社になくて現金が無くて支払いが受けられなかった分は、
“役員借入金”として、
会社に貸しているという処理をすることになります。

会社に貸している訳ですから、会社から金利収入が得られます。

役員借入金の返済を受ければ、当然所得税がかかりません。
(既に支払い済みのため)

会社に貸している役員借入金が増えると、それを株式に
転換するDES(デット・エクイティ・スワップ)に使うことにより、
資本金を増やすことができ、
過小資本に悩みがちな中小企業の社長の悩みを解決する
方法も採れます。

・役員報酬がたくさんもらえて幸せ。
・年金が保証されて幸せ。
・税特典の多い役員退職金がたくさんもらえて幸せ。
・会社に貸して、役員借入金から金利がもらえて幸せ。
・役員借入金の返済を受ければ、所得税のかからないお金がもらえる。
・DESにより資本金を大きくすることができて幸せ。
と6重の意味でメリットがあります。 

確かに、このように良いことずくめのように見えます。
会社が好調の時は良いのですが、不調に陥ると逆回転を
始めます。 ではどうなるのでしょうか。

社員の給料支払いもやっとこなせたぐらいでギリギリの
資金繰り、社長の自分の給料は業者支払いに充てなければ
いけないから到底もらえそうにないな。

給料もらえてないのに、所得税、住民税、社会保険料は高いまま。
延滞したら、サラ金並みの14.6%の利息がかかります。

60才を超えたのにまだ年金もらえてないな。
なぜなら、給料が高いともらえないんだ。

仕事が忙しく、疲れて病に倒れました。
※高所得者の医療費負担は高くしようという相談を
政府はしています、いずれ負担が大きくなるでしょう。

社長は、
・未払役員報酬の苦しみ
・租税公課延滞の苦しみ
・年金が減額になる苦しみ
・医療費負担の苦しみ(※将来導入の可能性大)
の4重の苦しみに味わいます。
さらに、その社長がなくなったとします。

これで終わりかと思いきや、そうではないのです。
社長が会社に貸し付けたことになっている役員借入金は、
相続時には資産として課税対象となります。

相続放棄をするのであれば構いませんが、相続するのであれば、
業績の悪い会社から、借入金返済を受ける見込は全く立ちませんが、
同じく資産としてみられてしまいます。
相続時の基礎控除を無駄に食いつぶしてしまいます。
4重の苦しみの上、更に相続問題まで残すのです。 

私は、金融機関時代から数多くの会社と社長を見させて
いただきましたが、支給できない金額の役員報酬を計上されて
幸せになった会社を知りません。

もらえる金額をもらうというのが幸せです。
分不相応、維持不可能な役員報酬は危険です。
一度上げた生活レベルを落とすことは容易ではありません。

奥様と家計については、しっかりと話すべきです。
家賃やローン支払い、生活費、教育費、食費、保険代いくら
払っているか、
社長は答えられますか?ご存知でしょうか
「たくさん家計に入れているのだから任せている」では通用しません。

いざ、役員報酬を下げようとしても
家計の出費が大きく下げるに下げられないと言ったケースも
あります。

事業再生をはじめるに当たっては、
まずは“隗よりはじめよ”です。

社長の役員報酬を下げるからこそ、銀行もリスケジュールに
納得し、社員も賃下げに応じてくれます。

社長の本気の覚悟で回りを巻き込むことから
事業再生は始まります。

役員報酬の見直しは年1回、決算月より三ヶ月以内が原則です。
増額の変更ではなく、減額の変更の場合は変更が認められる
ケースもあります。
顧問税理士の先生とご相談下さい。
 
自分が知らないことでも、
プロに聞けば、さっと解決できる事がたくさんあります。

簡単に諦めずに、プロに相談しましょう!