消費税法の一部が改正されました

(2011年09月18日)

平成23年6月22日に成立した税制改正(※)の中で、消費税法の
一部が改正され、免税事業者の要件と仕入税額控除の95%
ルールについて、実務上影響のある見直しが行われました。
 
今日はそのことについて話をします。

※「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して
税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律」
 
1:消費税の事業者免税点制度の見直しについて
 
①上半期の課税売上高または給与等の支払総額が1,000万円を
超えると翌期から課税事業者になる

消費税の事業者免税点制度では、法人企業の場合は前々
事業年度、個人事業者の場合は前々年の課税売上高が
1,000万円以下である場合(資本金の額などが1,000万円
未満の新設法人については基準期間がない場合を含む)には、
免税事業者として消費税の納税義務が免除されています
(課税事業者になることを選択している場合を除きます)。

しかし、今回の改正で、上記の事業者免税点制度の要件を
満たしていても、次に掲げる特定期間の課税売上高が
1,000万円を超えるときは、事業者免税点制度の適用を
受けられないことになりました。

この特定期間の適用にあたっては、課税売上高に代えて、
特定期間中に支払われた所得税法に規定する支払明細書に
記載すべき給与等の金額に相当するものの合計額を用いる
ことができます。

★給与等の額に含まれるもの

・役員報酬や従業員への給料、賞与
・パート、アルバイトの給与 など
・未払いの給与等は除かれます

【特定期間】 とは次の期間をいいます

(1)個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの期間

(2)法人のその事業年度の前事業年度(7か月以下の短期事業
年度の場合を除く)開始の日以後6か月間の期間

(3)前事業年度が短期事業年度の法人でその事業年度前
1年間に開始した前々事業年度がある場合は、当該前々事
業年度開始の日から6か月間(当該前々事業年度が6か月
以下の場合を除く)

(4)当該前々事業年度が6か月以下の法人の場合は、その
前々事業年度の期間

【適用はいつから】

「その年」「その事業年度」が、平成25年1月1日以後に開始
するものから適用されます。
したがって、3月決算法人の場合、平成24年4月から9月までの
上半期で、課税売上高が1,000万円を超えると、平成25年4月
開始事業年度から課税事業者になります。

(注)基準期間において免税事業者である場合には基準期間の
課税売上高は税込金額で判定します。
 
2:仕入税額控除の95% ルールの見直し
①課税売上高5億円超の事業者はこの制度が使えない
消費税の納税額は、顧客などから預かった消費税額から、
事業者が負担した消費税額を差し引いて(これを仕入税額
控除という)計算します。

非課税売上に対応する課税仕入れに係る消費税額については、
仕入税額控除が認められません。
しかし、事務負担に配慮して、課税売上高と非課税売上高を
合算した金額のうちに課税売上高が占める割合が95%以上で
あれば、全額を仕入税額控除することができます。

これを、一般的に仕入税額控除の「95%ルール」と呼んでいます。

今回の改正では、課税売上高が5億円超の事業者は
この「95%ルール」が使えないことになりました。
これからは、課税期間の課税売上高が5億円超の事業者では、
非課税売上高等に対応する部分について仕入税額控除が
できなくなるため、納付税額が増えます。

さらに課税仕入れの取引ごとに、その課税仕入れと課税売上
または非課税売上との対応関係を慎重に判定する必要が
生じるため、負担が増えることになります。
 
ちなみに、この改正は、平成24年4月1日以降に開始する
課税期間から適用されます。


★震災関連の消費税の処理例 ★

震災に伴って災害見舞金を贈ったり、寄付をした場合、
消費税の処理はどうなるのでしょうか。

☆取引先や社員への災害見舞金

・Q1 震災で被災した取引先に会社から見舞金を贈りました。
法人税では災害見舞金は損金にもなりますが、消費税は
どうなりますか?

・A1 取引先や社員に金銭で支出した災害見舞金は、不課税
取引になるため、仕入税額控除をすることはできません。
この場合、受け取った側も課税売上にはなりません。

☆現金による寄附

・Q2 会社が日本赤十字社に寄附した場合、仕入税額控除の
対象になりますか。

・A2 寺社、学校、政治団体、日本赤十字社共同募金等に現金に
よって寄附した場合には、不課税取引となるため、仕入税額控除を
することはできません。