消費税の仕入れ税額控除のルール改正への実務対応について

(2012年03月24日)

 
仕入税額控除を計算する際のいわゆる「95%ルール」が、
税制改正により、課税売上高が5億円を超える事業者には
適用されなくなります。そのことについて話をします

★課税売上高5億円超が対象
 
これまで、総売上に占める課税売上の割合が95%以上であれば、
仕入税額を控除する際、売上時に顧客から預かった消費税額から、
仕入れや経費等の発生時に事業者が負担した消費税額を
全額控除することができました(仕入税額控除の95%ルール)。
 
ところが、平成23年度税制改正により、平成24年4月1日以後に
開始する課税期間から課税売上高が5億円を超える課税事業者に
ついては、95%ルールが適用できなくなり、個別対応方式か
一括比例配分方式のいずれかで控除する税額を計算する
必要があります。
 個別対応方式と一括比例配分方式とは一体何でしょうか。

★個別対応方式と一括比例配分方式とは?
 
(1)個別対応方式
事業者が負担した消費税額を「その課税仕入れが何のために
使われたものであるか」によって区分(以下、用途区分)し、
顧客から預かった消費税額から控除できるものと控除できない
もの等に分け、控除する税額を計算します。
 
(2)一括比例配分方式
事業者が負担した消費税額の全額に課税売上割合を乗じて
控除する税額を計算します。
 
★対象となる事業者の実務対応は?
 
(1)非課税売上高を正確に把握する
非課税売上高には次のようなものがあります。
これらの収入には、PCの会計ソフトを使用している場合、
非課税売上高の消費税の課税コードを記録しましょう。
●土地の譲渡収入
●土地の賃貸料(1か月未満の貸付けを除く)
●株券や国債などの譲渡収入
●居住用住宅の賃貸料(1か月未満の貸付けを除く)
●受取利息
●従業員等から徴収する社宅家賃収入
●社会保険診療報酬など
 
(2)個別対応方式は用途区分に注意する
これまでは、課税仕入高のすべてについて、課税売上高のみに
対応する課税仕入れとして、PCの会計ソフトに消費税の
課税区分コードを記入・入力する対応で済んでいました。
改正後は、個別対応方式を採用する場合、販売費及び
一般管理費などの課税仕入高を用途区分し、それぞれに
応じた消費税の課税区分コードを記入・入力する必要があります。
 
★課税売上高5億円以下、課税売上95%未満の事業者への影響
 
(1)課税売上高が5億円に近い事業者は注意
課税売上高が5億円を超えるかどうかは、当該課税期間の課税
売上高で判定することから、これまで課税売上高が3億円や
4億円の課税事業者も売上が増加して5億円超になるケースも
考えられるため、事前に用途区分をしておくことが必要と思われます。
 
(2)用途区分に注意が必要
今回の改正で用途区分の考え方が注目されたことで、税務
調査等では、これまで以上に用途区分の合理性が問われる
ことが多くなる可能性があります。
例えば、不動産賃貸・売買業、工務店、クリニック、保育園など
営業収入に占める非課税売上高が多い課税事業者や、たまたま
固定資産である土地等を譲渡した課税事業者など、
当該課税期間の課税売上割合が95%未満となってしまうような
場合には、販売費及び一般管理費などの
課税仕入高のすべてについて3つの用途区分にしっかり区分
しましょう。
 
(3)今後の動向に注意
今回の消費税法改正は、限られた事業者が対象ですが、
将来の消費税増税を見据えて、これまでの例外・特例などの
優遇的な措置が縮小される傾向にあります。
今後の動向に注意してください。