セールアンドリースバックとは

(2011年05月04日)

過去数回にわたって資金繰り改善の具体的方法について
話をしてきました。資金繰り改善の具体的方法は、
下記の7つがあります。

1.売上金回収サイトの短縮(売ってから現金を受け取る期間の短縮)

2.支払いサイトを長くする(買ってから現金を払う期間の延長)

3.借入をおこす

4.在庫の削減

5.資産の流動化・現金化

6.増資

7.適切な節税


4月28日のコラムで「資産の流動化・現金化」で少し触れた
「セールアンドリースバック」について話をします。

みなさんは、
「セールアンドリースバック」
という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか?

不動産の流動化をする際に利用される事の多い手法ですので、
不動産関係にお勤めの方などはよく知っているかもしれませんが
一般的には耳慣れない言葉かもしれません。

「セールアンドリースバック」とは、簡単に説明しますと、
所有する物件を売却し、物件を買った方からその物件を借りて、
引き続き使用するという手法です。
つまり、同一の不動産の権利を所有から賃借へ変えるという
ことです。

不動産の所有者が変わったことは、不動産登記簿謄本を
確認しない限り分かりません。ゆえに、表面上は何も変わらずに、
今まで通り事業を継続できるというメリットがあります。

場合によっては、今払っている不動産にかかる借入の
返済額よりも、家賃の方が安くなるというケースもあります。
また、所有していませんので固定資産税の負担もありません。

例えば、所有している時にまだ不動産購入の借入が残って
いて毎月20万円の返済をしていた場合、毎月20万円の
キャッシュアウトが発生します。そして、借入金の返済です。
経費ではありませんので、損益が黒字の場合は、税金が
かかります。

一方、セールアンドリースバックにより、売却して得たお金で
借入を返済したことにより借入残高がなくなったと仮定して、
返済の代わりに20万円の家賃を払うこととなったとすると、
これまでと同じように20万円はキャッシュアウトしますが、
家賃は、経費ですので、損金計上できます。
すると、その分利益が減るので、税金が減るという効果が
あります。

このように、同じ20万円のキャッシュアウトでも借入金の
返済か経費なのかでは資金繰り上、大きな違いとなります。
最近では、上場企業をはじめ、多くの企業が自社ビルを
セールアンドリースバックにより流動化を進めています。

ただし、抵当権の設定されている不動産で、
セールアンドリースバックを活用するには、抵当権者である
金融機関と交渉を行う必要がある点に注意してください。
上記のような活用方法の他にも、企業の動線となるような
工場や店舗、事務所などの不動産で積極的に
セールアンドリースバックを活用するケースはあります。

なぜならば、借入金の返済ができなくなってしまうと、担保に
入れている不動産は当然ですが、担保に入れていない
不動産であっても、法的手続きにより競売にかけられて
しまう可能性があります。

しかし、所有ではなく賃借しているのであれば、その不動産の
所有権がないわけですから当然、競売されることはありません。
大家さんに家賃を払っている限り追い出されることはありません。
このように、事業の性質上絶対的に必要な不動産を競売の
リスクから事前に非難させるという効果もあります。

セールアンドリースバックを実行するには、その不動産を
買ってくれる「協力者」の存在が不可欠です。
多くの場合、親族など身内の方が協力者となります。

また、一括現金で買うのではなく、ローンを組んで購入する
場合は、協力者が返済できなくなり、結局、競売にかけられる
ということもあり得ますので、返済に問題のない協力者が
望ましいと言えます。

協力者の役目をビジネスとして行っている会社もあります。
そのような会社に依頼することも可能ですが、ビジネスで
行っているので、万が一、第三者に売らなければならない
状況になった場合にその不動産が売れるかという不動産の
流通性を気にします。

地方の買い手がつかないような場所や首都圏であっても
特殊な工場など汎用性の低い物件は、敬遠して取り扱って
くれない可能性が高くなります。

不動産を所有しており、流動化したい方や、万が一の競売
リスクから事前に避難させておきたいとお考えの経営者は、
セールアンドリースバックを検討してみることも良いかも
しれません。

いわゆる、「持たざる経営」の一つだといえますね。