増資について

(2011年05月20日)

資金繰り改善の具体的方法は、下記の7つがあります。


1.売上金回収サイトの短縮(売ってから現金を受け取る期間の短縮)

2.支払いサイトを長くする(買ってから現金を払う期間の延長)

3.借入をおこす

4.在庫の削減

5.資産の流動化・現金化

6.増資

7.適切な節税
 

過去に1~5について、触れましたので、
今回は、「6.増資」について触れてみたいと思います。


増資とは、株式会社が株式を新たに発行して資金を集める
方法です。
「増資」は、字の通り、資本を増やすことであり、増資で得た
資金は自己資本ですので、負債(借金)である「融資」とは
違って、返済の必要がありません。
設備投資に使おうが、運転資金に使おうが自由です。 

増資をすると手元の資金が増え、資金繰りに好影響を与える
ばかりではなく、自己資本比率、流動比率、当座比率などが
向上し、財務基盤の強化に繋がり、銀行融資の審査にも
プラスに働きます。 

ただし、中小企業の場合の多くは、社長が筆頭株主になって
おり、ある意味、社長の好きなように会社を運営できますが、
増資により、社長の出資比率が下がってしまうと、そうも
いかなくなります。


具体的には、出資比率が50%未満となると自由度が著しく
減少します。なぜならば、多くの会社の定款には、株主総会の
決議について、
「議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を
有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数を
もって行う。」と記載されていますので、過半数を下ってしまうと、
社長の一存では決議できません。 

もっと言えば、定款変更、事業譲渡、合併など特に重要な
議案については、特別決議を要しますが、特別決議については、
多くの場合、定款に「議決権を行使することができる株主の
議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の
議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う。」
と記載されていることから、3分の2以上のシェアを持って
いなければ、全ての事柄を自由に決められるという環境には
なりません。 

そもそも、会社の決議事項を社長の一存で全てを決められる
という事は、会社のあるべき姿とは言えませんが、中小企業に
おいては、「社長=会社」、「会社=社長」のケースが多く、
またその方が小回りの効きが良いと言えます。 

このことから、増資をするにしても経営者の出資比率を大きく
下げるような増資をするのではなく、最低でも過半数、出来れば
3分の2以上の議決権を保持しつつ、増資を検討することが
望ましいと言えます。 

また、資本金の額についても注意するべきです。
資本金の額は、その会社の規模を表す一つの指標となります。 
例えば、信用保証協会を利用できる会社については、
資本金の額と従業員数の両方の面から企業規模に関する
制限があります。 

製造業であれば資本金3億円以下、若しくは従業員数300人以下、
サービス業は、5千万円以下、若しくは100人以下。
小売業や飲食業は、5千万円以下、若しくは50人以下と
なっています。 
資本金、従業員数のどちらかの条件が当てはまれば利用
できるのですが、どちらもオーバーしてしまうと、対象外と
なってしまいます。 

という事は、飲食業で従業員数が50人以上いる会社が増資を
して、資本金が5千万円を超えてしまうと、信用保証協会を
使って融資を受ける事ができなくなってしまいます。 

その他、助成金についても同じような制限がありますので、
むやみに企業規模を大きくしてしまうと、逆に首を絞める結果と
なりますので、注意して下さい。 

従業員数とは正確に言うと「常時使用する従業員数」であり、
従業員には、アルバイトも含まれますので、10店舗近く
展開している飲食業であれば、従業員数はあっという間に
50人を超えてしまうので、要注意です。 

以上のように、いくつかの注意点はありますが、増資をすること
により、手元の資金を厚くすることができ、資金繰りや財務の
改善に繋がります。 

以上で、何回かに分けて資金繰り改善の具体的方法の
1~6まで見てきました。
7の「節税」については、最初にお伝えした通り、税理士さんの
専門分野ですので、私からお伝えすることは避けます。


一つ言えることは、適切かつ適度な節税をし、資金流出を軽減することは
資金繰り改善の重要なポイントになりますが、過度な節税はかえって
資金繰りを窮地に追い込むことになりかねませんので、特に銀行融資を
必要とする会社は、バランスの良い節税を心掛けて頂きたいと思います。