マネジメントとはなんだろうか

(2011年07月14日)

ピーター・ドラッカーが「マネジメントの発明者」と言われ、我が国で
再評価を受けているように、マネジメントというキーワードは、
現在の我が国の経営にとって重要なものとなっています。

「もしドラ」をはじめ、多くの著作、翻訳が為されていること、
ドラッカーでなくともマネジメントという言葉は、経営を語る上で
必須となってきています。ドラッカーという言葉を、聞いたことが
あるという方が大半なのではないかと思います。
 
しかし、実際にはずっと昔からこの重要性は唱えられ続けており、
そして、うまく実践されてこないまま、今日に至っています。
人が関係することですから、言うこととやることとは別の問題で
あり、簡単に表現されても難しい、というのは当たり前の
ことではあります。その要因の一つはひどく単純なことで

「うまく和訳ができないことで、本来の意味が伝わっていない」
につきるのではないでしょうか。

今日は、この点について話をします。
 

はじめに、マネジメント(management)を和訳すると、 
どのような言葉になりますか?

一番多いと思われるのは「管理」ではないかと思います。
そういう私も、昔はそう思ってしまっていましたし、何より英和
辞典を引いても、私の知る限りにおいては、おおむねこのように
訳されているはずです。

わざわざ、辞書を疑おうとする人など少ないのは当然ですし、
そんなことからやっていては日常的な言葉を使うことすら、
おっくうになってしまいます。

…しかし、実はここで、すでに間違いが生じているのです。

経営学上では「組織に結果を出させること」をマネジメントの
定義としており、訳としては

「組織や団体、人が存続・発展するための全ての活動」と
なるようです。

どうしても一言にすることができないこの言葉、それが何故でしょうか

※この言葉の概念は、元々日本にはないものだから、
 一言で表現することは不可能だから。
 それを、何とか近い言葉で訳した結果が「管理」。

という、やむを得ない、しかしある種の誤訳と表現できる事情に
よるものです。
 
これは、この言葉に限ったことではありません。他にも、
「プライバシー」
「コンプライアンス」
等、日本語では一言で置き換えられない言葉というのは
他にもたくさんあります。
 
例えば「プライバシー」は、
「私生活における、他より干渉されない権利」というように訳され
ますが、我が国では江戸時代の長屋文化に代表されるように、
あまり私生活を隠すという思想を持っていませんでした。

従って、思想がないのですから、それを表現する言葉も特に
なかったし、必要がなかったのです。
 改めて、現代の情報化社会において必要となったのですが、
英語をカタカナにしたままで私たちは日常的に使うことで、
新たな日本語として受け入れるという解決をしているわけです。
 
しかし、マネジメントについては、「管理」という訳語でこれまで
きてしまいました。
これが、日本でのマネジメント論における、基本でありながら
最大の障害です。 

そして、管理という言葉は、経営においてはマネジメントとは
全くの別物であることを、認識しなくてはなりません。

管理という言葉は今でこそマネジメントと同じ意味を持ちます
(辞書を開いてもそのようなことが書いてあります)が、問題は
そこではありません。
私たち自身が心理的に持つ管理という言葉の持つ響きや印象が、
マネジメントのそれと異なるからです。

・「組織をマネジメントする」
・「組織を管理する」

このように並べてみると、随分と印象が異なることが分かり
やすいと思います。

管理、という言葉は上から下へ統制することを前提としています。
部下にとっては、どうしても必要ならば反対しないけれども、
出来る限りやって欲しくないものです。
見張られるような、粗探しをされるような、そのようなイメージが
つきまとっているのです。
 
我が国の企業がマネジメントにおいて失敗するのはここから
始まります。
どのような報告や申請、相談であっても、それが管理されること
自体が嫌がられてしまうのですから。
上司も間違ってしまいがちです。管理することを統制すること、
と考えてしまうことで

管理すること=支配すること

としてしまうのです。
どんなに支配を強めようとしても、うまくいかないか、うまくいっても
長続きしないことは、経営者の皆様であればこそ、ご理解頂ける
のではないでしょうか。 

 マネジメントとは、「組織に結果を出させる」ために行うものです。
必要なものは管理→支配することではなく、部下や同僚が成果を
出せるような環境や状況を作り出すことと言い換えることができます。

 中小企業には上場企業のような時間的・人的・金銭的な余裕が
ありません。
残念ではありますが、この事実は覆りません。
しかし、小さい組織であればこそ、マネジメントによる意識の統一化・
浸透はより早く行うことができます。ここだけは、今後とも変わらない
中小企業の勝ち残るために譲れない一手です。

 やみくもに努力しても、方向性を間違ってしまうと無駄になって
しまうからこそ、頑張っている社員様に正しい道筋をつけ、
お客様によりよいサービスを提供することで会社を存続・発展して
いけるよう、会社のあり方そのもののマネジメントをすることを、
もう一度始められるとよいと思います。