あなたの会社の持つ本当の資産を確認しよう

(2011年07月14日)

「資産を確認しよう」と言われて最初に思いつくのは、多くの方の
場合、貸借対照表の左側の部分になることと思います。
キャッシュフロー経営においては「不要不急の資産は持たない」
ことが勧められますし、銀行は融資先の貸借対照表の資産に
おいて時価評価を行い、実質的な価値を算定していることは、
すでに広く知られています。

その評価次第で、決算数値上では債務超過になっていなくとも、
実質的には債務超過と判断されること、それにより融資の
可否判断に大きく影響することについては中小企業にとっても、
税理士先生等の士業の方々にとっても、コンサルタントにとっても
重要で、その評価は適切に行われるべきです。

しかし、本来の経営の姿からいって必要であるにも関わらず、
忘れられがちな考え方があります。言葉にしてしまえば何ということは
ないものです。
そこで、今日の話とさせて頂きます。


◆活用資産、非活用資産という考え方

例えば、同じ「車両」であっても、業務に活用しており、売上に
貢献し、事業の遂行に必須なものであれば簿価通りの評価をし、
そうでないものは評価を下げます。工場や事務所の内装や
設備であっても、その工場・事務所がその会社の事業に
必須なものであれば、簿価で算定することに問題はありません。

これは、中小企業が「選択と集中」を行い、そのために本当に
必要なものとそうでないものを考えるときに極めて重要な
考え方であり、単純な時価算定をすればよい、というものでは
ないのです。


◆貸借対照表に計上されない資産

顧客データや従業員様の士気・能力というものは、会計上では
表現することができません。
しかし、会社にとってこれらの資産は売上・利益を生むための
源泉であり、本質的には最大の資産です。

それが増加しているのか、減少しているのかは、意識的に
可視化しようとしない限り、なかなか見えにくいものです。
特に大企業のように何十年かけて、何万件とサンプルをとり、
標準数値が自社内で出来ている存在と中小企業は同じように
考えることは不可能です。

だからこそ、経営計画の中から必要な売上を割り出し、売上を
単価×数に分解して必要な顧客数を算定し、元々保有している
見込顧客数とのバランスを突合していくことで対応する必要が
あります。

 原則的には、
「顧客属性情報」
「顧客履歴情報」
「品質管理情報」

の三つの観点から、情報をいつでも確認できる状況を構築する
べきでしょう。

なかなか一朝一夕でできることではないことも確かですが、
会社は売上なしには成り立たず、売上はお客様より支払頂く
ものであること、またその顧客と直接対面しているのが営業
担当の社員様である以上は、その状況を「見える化」することが
どれほど重要かということは言うまでもありません。

銀行にとっては、この類の資料が直接審査に影響することは、
ほとんどないのは事実ですが、継続的に提出し、それが大きく
改善していることをアピールすることは決して無駄ではありません。
 
逆に言えば、銀行が普段このような資料に反応しにくいのは、
通常の企業がほとんど提出していないことの裏返しでもあります。
だからこそ取組み、継続的に銀行へその成長を証明することが、
結果的に信用を得ることに繋がります。


◆会計上資産に計上していないが、実質的には残存している資産
 
経営計画を立て、会社の物的・人的資源を確認する時に
重要ですが、最も見落としやすく、そして会社の再生や発展の
基盤になることが多いものです。

特に、広告宣伝費は販売促進費において、起こり得ます。

これらは、大半の場合、計上時に経費として扱い、その時点で
資産ではなく費用となります。会計上の処理としても、何の問題も
ありません。

しかし…、実際のところは、その効果が残っていて、自分達がそれに
気付いていないということが、よく発生します。

例えば、広告宣伝費においては

1.集客するために、広告宣伝費を大きめに投下する
2.キャンペーン活動が終わり、集客活動も終了する
3.思い通りにいかず、次のキャンペーンを考える
4.広告宣伝費をどれだけ投下してよいかわからなくなる

経営者という立場であれば、このような悩みに陥る方は多いこと
でしょう。ところが、すでに資金投下したキャンペーンを「勝手に
終わらせてしまっている」ことが非常に多いのです。

キャンペーンを行えば、「見込顧客」は増加します。
そこで、キャンペーンを一つ一つ切り取ってしまうことで、一旦
みなさんの会社のことを知って頂いたにも関わらず、会社側が
一方的に仕切り直してしまうのです。

財務的には、会計上は費用として計上したものの、
実質的には「長期前払費用」として残っている、ということです。
大半の会社はこの可能性を知っていながら、その検証と対応が
できていないことで、

広告宣伝費が無駄に膨れ上がる ⇒ 収益性がどんどん低下する ⇒ 
価格競争に巻き込まれる ⇒ 赤字化

を生んでいるのです。

顧客満足度評価においても、新規見込顧客からご成約を
頂くのに比べて、一度見込顧客化した顧客からのご成約を頂く
コストは数分の一というのが鉄則となっています。


◆あなたの会社の資産を知る⇒売上を向上させる

・お客様により知って頂く
・知って頂いたお客様により高い確立で商談を頂く
・ご成約率を上げる
・成約内容の品質を上げる
・ロスト案件に継続フォローを入れる

あなたの会社の持つ資産を知り、この仕組み全体を構築することで、
初めて企業は売上向上を積極的に取り組むことが可能になります。
財務の問題から、売上向上に繋がる流れです。

財務というのは、「経営判断を行うための手法・ツール」であると
考えます。継続的に、状況についてご確認頂き、経営改善に
つなげて頂ければ幸いです。