中小企業白書2011年版について見えること

(2011年08月02日)

経済活動においては、まだまだ震災の影響は大きく残って
いますが、内閣府が公表した23年7月の月例経済報告では、
個人消費が「下げ止まっている」、

設備投資は「下げ止まりつつある」、輸出は「上向きの動きが
みられる」など、少 しずつ変化が見られます。 

まだまだ予断はできない状況が続くとは思います。しかし、
同じく7月に内閣府が発表した「経済財政白書」で提言された
ように、人材開発やソフト開発力、ブランド力などの無形資産
での強みを発揮し、日本経済が力強さを取り戻す日が1日でも
早く来て欲しいと思います。
 
中小企業白書2011年版について
中小企業白書は例年は4月下旬に公表されます。しかし、
今年は、2か月以上遅れて、7月の上旬に公表されました。
これは、東日本大震災の影響を盛り込むための調査に時間を
要したためです。


本旨とは少しそれますが、ご参考までに、震災に関する影響を
示す指標をご紹介 します。
 
「青森県、岩手県、宮城県、福島県の商工会が把握している
(商工会の)会員企業の被災状況」
 
沿岸部 全壊54.4% 半壊12.7% 一部損壊28.7%
 内陸部 全壊2.5% 半壊2.7% 一部損壊82.7% 

商工会が把握している会員企業の被災状況によると、建屋・
家屋の被害は、沿岸部で全壊が約5割である一方、内陸部で
一部損壊が約8割という結果になっています。
数値であらためて、震災の被害の大きさを知ることができます。 

今回の中小企業白書でも、中小企業と金融機関の意識の違いに
関する調査結果が載せられています。
 
そのひとつとして、再生支援開始後支援の継続に障害となる
要素について、金融機関は、以下のものを課題にあげています
「経営者の経営改善に対する意欲の弱さ」(88.6%)、
「経営実態の把握が困難」(60.7%) 

再生にあたっては、経営者の意思の強さや、情報開示の状況が
大きな要因となっていることが分かります。これについては、
事業再生に至らない会社であっても通じるものですが、その重要性が
あらためて浮き彫りになっています。
 
また、別の調査では、中小企業が求めている相談項目と
金融機関が重視して いる項目に関する調査についてご紹介
します。 

中小企業は、
「新規分野への進出に関する相談」を求めている割合(32.0%)
が最も高い一方、
 
金融機関は、
「経営計画の作成に関する相談」を重視している割合(36.0%)
が最も高くなっています。
 
中小企業としては、あらたな収益を得ることに関心が高い一方で、
金融機関は、事業の企画や管理に関する能力が重要と考えて
いるようです。
 
経営者の方にとって、新規分野に関心が高いことは理解できます。
その一方で、金融機関は「目利き能力」を高めようとするなかで、
融資先の情報開示の体制が不十分と感じていると考えられます。 

中小企業が新規分野に進出しようとしたとしても、仮に事業
計画書が稚拙であると、金融機関はその妥当性が判断しにくく、
結果として支援を受けることができなくなる可能性もあります。 

情報開示という基本的なことなくしては、金融機関から適正な
支援は受けることができないということがあらためて示されて
いると思います。