在庫には金利がかかる

(2012年04月19日)

みなさんの会社では在庫管理で苦労していませんか?
正確な在庫が分からないと、ムダな時間や資金が必要となります。
確かに、在庫管理に関する書籍はたくさんあります。
その多くは、在庫評価法や発注方式など、財務の視点から
書かれています。
しかし、現品管理が弱いと、正確な在庫を把握が分からず
過剰在庫に陥りがちで、キャッシュフローは悪化します。
 
入出荷に時間がかかりすぎては、人件費がかさみ利益を圧迫します。
しかし多くの書籍は、どの様にすれば、正確に在庫を把握しながら、
スムーズな入出荷を行えるのか?そんな課題には応えてくれません。
 
そして、在庫には実を言うと金利がかかるとみなさんご存じでした
でしょうか。「在庫金利」と言いますが、今日はそのことについて、
話をします。
 
「在庫金利」は実際に支払う金利のことではなく、架空の費用です。
 
在庫金利とは、在庫を保有することによる資金負担を、保有期間に
応じて、金利という仮想の資金コストに変換した、管理会計上の
金利のことであり、在庫金利の計算方法は、棚卸資産残高に、
企業の平均資金調達金利などを掛けて算出し、在庫金利の
計算方法は、企業の社内事情に応じて決定することが基本と
なります。
 
では、なぜ架空の費用が必要なのでしょうか。その理由は、
在庫を含め、会社の資産は、借入金や資本金などの資金を
調達することで保有することができます。
 
その資金の調達には費用がかかります。そこで、その費用を
加味して事業の業績を判断しようとするときに、在庫金利という
架空の費用を使って判断を行います。
 
この在庫金利は、実際に在庫を保有することで発生する、自社
倉庫での保管費や管理費などの在庫保有コスト以外の在庫
保有コストを、目に見える形で表現した、管理会計上の概念なので、
在庫金利をわざわざ計算する目的は、社員に在庫保有コストを
意識させ、在庫を削減する為です。
 
在庫金利の決め方について説明します。
在庫金利は具体的には、加重平均資本コスト※などを参考に
決めます。 さらには、倉庫の賃料や、棚卸資産減耗なども
加味し、加重平均資本コストより高めに設定されることが多い
ようです。例えば、加重平均資本コストが2.7%であった場合、
在庫金利は3%にするという具合です。
 
そこで、在庫金利を使った事業の評価の仕方について話をします。
ある事業が、2,000万円の在庫を使って、200万円の利益を
あげたとします。この場合、在庫金利を加味すると、在庫金利= 
2,000万円×3%=60万円ですので、その事業の正味の利益は 
200万円-60万円=120万円ということになります。 

在庫を多く持つと、売上を増やしたり、みかけの利益を増やし易く
なりますが、在庫を持つことはコストもかかっているため、
在庫金利という指標を使うことで、在庫に関するコストも意識させ、
正味の利益を増やすようにしようとすることに、在庫金利という
架空の コストを使う意義があります。 

 
加重平均資本コスト※
加重平均資本コストとは、資金を調達するときの費用の考え方の
 ひとつです。次の式で定義される。
WACC=D/(D+E)×rD×(1-税率)+E/(D+E)×rE
D:有利子負債総額 E:時価総額(または株主資本) rD:負債コスト
rE:株主資本コスト