金融機関が決算書や経営計画に求めるものは一体何

(2012年04月19日)

金融機関が、中小企業への融資や貸付条件の変更等を行う際、
提出される決算書や経営計画に何を求めているのでしょうか。
ある金融機関の融資担当者に、その本音を聞いてみました。
そのことについて話をします。
 
★Q1:
融資判断にあたって、企業をどのように評価しているのでしょうか。

★A1 
融資判断の基本として、その企業の格付(自己査定)を行って
います。まず、お客様から提出していただいた決算書の数値に
基づいて評価する定量的分析を行います。

この定量的分析をベースにして定性的分析を加味します。
定性的分析では、定量的分析には表れていない、その企業の
強みとして将来的に定量的要因が改善される要因を評価します。
 
これらの分析方法は、金融庁の「金融検査マニュアル」に
基づいて行われます。

★…定量的分析項目、定性的分析項目の一例…★
【定量的分析項目】
●流動比率
●固定比率
●自己資本比率
●総資産経常利益率
●ギアリング比率(有利子負債÷自己資本)
●売上高
●キャッシュフロー額等々
●債務償還年数

【定性的分析項目】
●技術力
●営業力・販売力
●経営基盤
●経営者の個人資産
●親会社の存在
●経営者の資質 等々


★Q2:
決算書については、具体的にどのような点を見ているのでしょうか。

★A2
金融機関の自己査定の中で、決算書の数値が正しいかどうかを
確認していきます。例えば、資本金や借入金、売掛金などの
本当の価値はいくらなのか、不良債権が含まれていないか
などを確認します。

このような不良資産の有無のチェックが、一番大きな作業に
なります。要するに、債務超過の有無を確認しています。

特に増減の激しい項目については、その理由を伺いました。
未払金や仮払金は、特に注意しています。

金融機関による資産評価の一例
(1)売掛金の例
売掛金の回転期間が同業種平均と比べて異様に長いような場合、
実際、回収できない債権が含まれているのではないかと
疑います。
経営者に理由をお聞きした結果、資産性なしと判断することも
あります。

(2)土地・建物などの固定資産の例
固定資産は、必ず時価評価します。また、減価償却がされて
いない資産は、償却し直して・償却分は収益からマイナスします

(3)仮払金
仮払金は、その内容を確認し、将来的に会社に返ってくるもので
なければ、資産価値はないと判断することもあります。
決算書と翌月の試算表を比較すると、整合性が合わない項目が
見つかります。
よく調べてみると、実際は不良資産だったりします。また、
勘定科目内訳書を3期分比較して、同じ数値が並ぶ項目が
あると、不良資産の可能性を疑います。

★Q3
現在のような、どの企業も売上が厳しい環境では、
売上については、どのような見方をされているのでしょうか。

★A3
売上減少の理由が、単価の下落なのか、数量の減少なのか、
あるいはその両方なのかを、経営者にお聞きします。
本来は、こちらからお尋ねする前に、経営者のほうから積極的に
説明してほしいのです。
しかし、それがなかなかできない経営者が少なくないのが実情です。

経営者自らが、売上減少の要因とその対策をきちんと説明できる
企業は、経営数値が改善されてくることが多いようです。

★Q4:
企業から提出された経営計画について、どこを、どう見ているの
でしょうか。
★A4:
企業格付、定量的な目線でいえば、売上、利益から生み出される
キャッシュフローで10年以内に借入金が返済できるか、それが
予想の貸借対照表・損益計算書に反映されているかといった点を
見ています。
売上については、数量と単価のどちらを改善の柱に持っていくのか、
それが市場性に照らして妥当なのかどうかを確認します。

★Q5:
経営計画に求めているのは何でしょうか。

★A5:
最初から「とりあえず数字を並べただけ」というような計画を
提出されると、金融機関としても非常に困るわけです。返済に
必要となる利益やキャッシュフローを生み出すためには、
現在の利益率では、どれだけ売上が必要になるのか、その
ために打つべき対策は何かを積み上げた計画を求めています。
計画内容そのものに実現性があることが大前提ですが、経営
計画の実現に向かって経営者と従業員にやる気と覚悟がある
ことも重要です。
私どもは、経営計画を「この計画でやります」という経営者の宣言
だと考えています。
その宣言を受けて、金融機関は、融資や条件変更をさせて
いただくわけです。

★Q6:
金融機関としては、どのように経営支援をしていくのですか。

★A6:
経営者には、毎月の経営の結果を見返して、それが予定通り
でなければ、なぜそうなったのかを分析し、その対策を実行して
いただくとともに、その内容を金融機関に報告してほしいと
思います。
その報告をもとに、金融機関からも助言させていただくことも
あります。これをモニタリングと呼んでいます。

経営者の皆様には、月次ベースで自社のことに興味を持ち、
実績に対して、原因分析をして、その対策も含めて金融機関に
しっかりと伝えてください。