マイナスの印象を和らげる魔法の言葉とは何か

(2012年04月16日)

相手に何かを依頼したり、あるいは相手の依頼を断ったりすることは
なかなか難しいものです。今日は、相手の気持ちを和らげマイナスの
ことも受け入れやすくしてくれる、「クッション言葉」と表現方法の
ちょっとした工夫をご紹介します。
これらを臨機応変に使えるようになると、コミュニケーションが
格段にスムーズになるでしょう。
 
クッション言葉
伝えたいメッセージの前に添える「クッション言葉」は、すでに
活用している方も多いのではないでしょうか。
相手の希望に添えないときや、何か負担を強いるような場面で、
相手への敬意や思いやる心を表す一言を添えることで、
丁寧な印象になります。
 
では、代表的なクッション言葉には何があるでしょうか。
恐れ入りますが/お手数をおかけしますが/お差し支えなければ/
念のため/申し訳ございませんが/ご面倒をおかけしますが
/お急ぎのところ恐縮ですが/
よろしければ/あいにくではございますが/残念なことに など

クッション言葉の有無による印象の違いを、比較してみてください。

★「こちら(問診票)に記載がありませんでしたので、ご記入ください」
⇒「恐れ入ります、こちらに記載がございませんでしたので、
お手数ですがご記入していただけますでしょうか」

★「携帯電話の番号を教えていただけますか」
⇒「お差し支えなければ(または念のため)、携帯電話の番号をお伺いしてもよろしいでしょうか」

★「検査結果は電話ではお答えできないので、来院してください」
⇒「申し訳ございません。検査結果はお電話ではお答えできかねますので、
ご面倒をおかけしますが、お越しいただけますでしょうか」
 
  表現方法を工夫する
(1)命令・否定的な言い回しは避ける

前項の例にもありますが、相手に何かをお願いする場合、
命令形よりも相手の意思に委ねる疑問形にした方が、与える
印象が柔らかくなります。

「こちらでお待ちください」 ⇒「こちらでお待ちいただけますか」

また、「それはできません」という否定的な表現は、「~ならできます」という
肯定的な表現に言い換えると、相手はメッセージを前向きに
受け入れやすくなります。

「検査の結果は1週間後でなければ出ません」 ⇒
「検査の結果は1週間後にはお伝えできます」

(2)「イエス・バット法」「ノー・バット法」

否定的な言葉だけを伝えると、たとえその主張が正しくても、
素直に聞き入れにくいものです。そこで、関係性を壊さずに
伝えたいことをきちんと伝えることができる、「イエス・バット法」
「ノー・バット法」をご紹介します。

【イエス・バット法】
相手の言い分を肯定的に受け入れてから要求を断る方法です。

「どうしてジェネリック薬に変更できないのですか?」
「○○さまのおっしゃることはよく分かります。ご不審を抱かせてしまい
申し訳ございませんでした。ただ、○○さまの場合、使われている
お薬のジェネリック薬では同じ効果が期待できないと医師が
判断したため、ジェネリック薬への変更が不可となっています」

【ノー。バット法】
相手の要求を初めに断った上で代案を示す方法です。

「木曜日の午後の予約をお願いします」
「申し訳ございません。あいにく木曜日の午後は休診なので
予約ができかねますが、午前中は診療を行っております」
 
注意”や“断り”の上手な伝え方
応用編として、伝え方が難しい「患者さんへの"注意"や"断り"」を
上手に伝える例をご紹介します。これまで出てきたクッション
言葉や表現方法を参考に、適切な対応を考えてみましょう。

(1)禁止区域での携帯電話の通話を注意する。

「こちらでの携帯電話の通話は困ります」 
⇒「恐れ入ります、こちらでの通話は医療機器に悪影響を
及ぼす可能性があるため、ご遠慮いただいております。あちらの
公衆電話のあるコーナーでしたら通話が可能ですので、
ご協力いただけますでしょうか」

状況によって、通話ができない理由や、どこであれば通話可能かを
伝えれば、より親切な対応となります。また、「ご遠慮いただいて
おります」「ご協力いただけますでしょうか」等の表現は、
好ましくない行為を改めていただく場面で役に立ちます。

(2)仕事の都合を理由に、今すぐに診てほしいという要求をお断りする。

「受付をされた順番で受診していただいていますから、それはできません」
⇒「○○さまのお気持ちはよくわかります。しかし、申し訳ございまぜんが、
受付をしてくださった方から順番に診察をさせていただいております。
ご理解いただけませんでしょうか」

イエス・バット法とクッション言葉を活用しています。クッション言葉を使い
相手の気持ちに寄り添いつつ、できないことに対しては毅然と伝えます。
ただし「できません」ではなく「ご理解いただけませんでしょうか」と、
柔らかく協力を求めます。

そうすることで「何時までに診察が終わっていればよろしいですか」
など、相手の状況を把握する質問がしやすくなります。
すると、「○○さまの順番まで1時間ほどかかると思われます。
△△時過ぎには診察は終わっていると予想されますのでxx時の
飛行機には間に合うかと思われますが、いかがでしょうか」など、
解決につながるコミュニケーションが可能になります。

今回ご紹介したクッション言葉や肯定的な表現方法を、
自然と臨機応変に使えるようになるには、日頃から意識して使い、
徐々に慣れていく必要があります。

もちろん、これらの言葉を相手の心に届けるためには、形骸化させず、
気持ちを込めて伝えることが大切です。相手の立場に立った
気持ちのこもった言葉が、心を和ます魔法の言葉となるのです。